私の行動指針
はてなインターネット文学賞「記憶に残っている、あの日」
その日は雪が降る冬。私は全国高校サッカー選手権大会に出場した。
ベスト4を賭けた試合。負ければ引退。100名ほどの部員に応援され、チームの為にゴールを目指した。開始早々にチャンスは訪れた、みんなの眼差しは私1人だった。
私は、気持ちを込めボールを蹴た。
ゴールを捉えることができなかった。
聞こえる溜息、聞こえる励ましの声。
私は、「最大のチャンス」を外した。
取り返そうと必死に走るが全て上手くいかない。
その後、私は後半に交代させられ、チームは敗退。
応援席に挨拶する時、部員はもちろん、親、先生みんなが泣いていた。
しかし、私は泣くことが出来なかった。
ただ呆然と時間が過ぎるのを待っていた。
何度も「最大のチャンス」を逃したことが頭に蘇る。
ロッカーに帰るとありがとうと言われることが心苦しかった。ありがとうの意味がわからない。
チームメイトの顔を見ることもできなかった。
最後に一言監督が話された。この経験を次に活かして欲しいと。
この誰もが必ず言うであろう言葉を私は心に刺さった。
誰かに伝えなけらばいけない。この経験は試合に出た、チャンスを逃した私しかできないことだと感じた。
一度きりの戦い、どのように準備していてもミスは起こる。
しかし、そのミスを引きずることなく時間内に取り返さないといけない。
私は、自分のことだけを考えてしまっていた。
メンタルの部分で私は未熟だった。考えが甘いと感じる。
「責任を感じるのは後でやれば良い、今できることを最大限努力しよう。」
私はこの日のことを忘れずにいる。